- さく
- I
さく刺身にするため大きく切りそろえた切り身。IIさく鍬(クワ)で畑を打ち返すこと。 また, 打ち返したうね。 田のうね。 さくり。~を切・るうね間の溝の土を鍬(クワ)で掘り, 農作物の根元に寄せ上げる。 また, うねを作る。IIIさく【作】(1)文学や美術工芸・音楽などの芸術的作品。
「『草枕』は漱石の~だ」
(2)農産物のでき具合。IV「今年の~は昨年を上回るだろう」
さく【冊】昔, 中国で天子が后妃・諸侯を立てたり, 封禄・爵位を授けるときに発する勅書。Vさく【咲く】(1)花のつぼみが開く。⇔ 散る「花が~・く」(2)波が砕けて白く見える。 白波が立つ。「味鎌の潟に~・く波/万葉 3551」
‖可能‖ さける︱慣用︱ 話に花が~/死に花を咲かせる・一花咲かせるVIさく【幘】(1)昔, 中国で髪を包んだきれ。 頭巾。(2)天皇が神事に臨むとき, 冠の纓(エイ)を巾子(コジ)ぐるみ包んで後ろで結び, 垂れる白い絹。→ 御幘VIIさく【昨】きのう。 昨日(サクジツ)。VIII「この日冷風~の如く/日乗(荷風)」
さく【朔】(1)月と太陽との視位置の黄経が等しくなること。 また, その時刻。 月全体が太陽光線を背後から受けることになるので, 地球からは月が見えない。 新月。⇔ 望(2)陰暦で, 月初めの日のこと。 ついたち。(3)古代中国で, その年の歳末に翌年の暦と政令を頒布したこと。 また, その暦と政令。~を奉(ウ)く〔天子が定めた暦と政令を授かる意〕諸侯や属国が天子の命令に服従する。IXさく【柵】(1)木や竹を一定の間をおいて立て, それに横木をとりつけて, 人や動物が勝手に出入りできないようにした垣。(2)とりで。Xさく【策】(1)計略。 はかりごと。「~を練る」「~をめぐらす」
(2)物事や事件に対して行う処置・手段。「こうなっては~の施しようがない」「~を講ずる」
(3)永字八法(エイジハツポウ)の第五筆の横画。→ 永字八法~を弄(ロウ)・するあれこれと策略を用いる。XIさく【簀】(1)すのこ。(2)竹を編んだむしろ。 たかむしろ。~を易(カ)う⇒ 易簀XIIさく【索】(1)太いなわ。 つな。(2)仏像が手にしているなわ。 不動の金剛索, 観音の羂索(ケンサク)など。XIIIさく【蒴】(1)蘚(セン)類の胞子嚢(ホウシノウ)。 胞子体の主要部。 球形・楕円形などで基部に柄があり, 配偶体の上部につく。 蘚蒴。(2)「蒴果(サクカ)」に同じ。XIVさく【裂く・割く】※一※ (動カ五[四])(1)一枚の布や紙を無理に二つ以上に引き離す。 ひきやぶる。 《裂》「シーツを~・く」「絹を~・くような悲鳴」(2)動物の腹を刃物で切り開く。「腹を~・いて卵を取り出す」
(3)親密な関係にある人を無理やり引き離す。 《裂》「二人の仲を~・く」「生木を~・く」(4)時間・金・人手・スペースなどの一部分を分けて他の用途に振り向ける。 《割》「賞金の一部を~・いて施設に寄付する」「誘拐事件の報道に一面全部を~・く」(5)目尻などに入れ墨をする。「あめつつ, ちどり, ましととなど~・ける利目(トメ)/古事記(中)」
〔「裂ける」に対する自動詞〕‖可能‖ さける※二※ (動カ下二)⇒ さけるXVさく【避く】⇒ さける(避)XVIさく【離く・放く】※一※ (動カ四)遠くへやる。 引き離す。 遠ざける。「見も~・かず来(キ)ぬ/万葉 450」
※二※ (動カ下二)(1){※一※}に同じ。「難波津(ナニワヅ)にみ船泊(ハ)てぬと聞こえ来(コ)ば紐解き~・けて立ち走りせむ/万葉 896」
(2)他の動詞の連用形に付いて, 心理的に外に向かう動作を表す。 …やる。 …して気を晴らす。「語り~・け見~・くる人目ともしみと/万葉 4154」
→ 振り放く→ 見放く
Japanese explanatory dictionaries. 2013.